海賊戦隊ゴーカイジャー
アウトロー系ヒーローとして
ゴーバスターズの前代として活躍している『海賊戦隊ゴーカイジャー』、彼らの存在はある意味特異なものだ。それまでの戦隊ヒーローの歴史から見ても、彼らのように異色な存在はこれまでなかったのではないか。特撮ヒーローは正義の味方になる動機は人それぞれ異なれど、原動力となる悪を憎む正義の心は皆が共通しているものだ。ゴーカイジャーも正義ではあるものの、彼らは弱気を助け強気をくじきはしても、行動原理として根底に各々が『海賊』としての本質を忘れていないのが特徴となります。
ゴーカイジャーはこれまで放送されてきた戦隊ヒーローものの中で『35作目』に当たる記念作品でもあり、しかもこの作品の凄いところは歴代の戦隊ヒーロー達の力を借りるというものだ。借りるというのは字のままで、言うなればレッドがかつて世間を風靡したゴレンジャーのアカレンジャーに変身するといった、そんな突飛な内容となっているのだ。ゴレンジャーだけでなく、その他の作品のヒーローたちも出演するので子供だけでなく、リアルタイムで見ていた人がおもわず懐かしすぎる、と感慨深くなる作品でもあった。
そんなゴーカイジャー、面白くないわけがない。
歴代のヒーローたちが登場するとだけあって、そんな話なら黙っていられないというのは子どもたちよりも大人の方ではないでしょうか。ゴレンジャーはもちろん、ライブマンやチェンジマンといった昭和時代の戦隊ヒーロー達だけでなく、更に90年代を博したオーレンジャーといったものなども出てくるので、見ていて飽きないのは子供だけでなく大人も同じだ。
そんなゴーカイジャーはそうした力を借りつつも、基本的には正義を志す一方で海賊としてお宝探しに余念がないことから、通常のヒーロー像からはかけ離れた戦隊なのは見て取れる。よくやったなぁと感じる一方で、歴代のヒーローたちが出てくるというだけでも困難すぎるのは誰が見ても明らかだ。それでも成し遂げてしまったのだから、頑張りと根性の結果獲得した成果と言えます。
そんなゴーカイジャーたちを、ここでもまたおそ松さん兄弟に当てはめてキャラクター性などを見てみよう。
パーソナルカラーたるヒーローたちの像
- ゴーカイレッド
- 主役のカラーであるレッドをまとうのは海賊団の船長でもある『ゴーカイレッド』、おそ松さん的に見ると長男の『おそ松』が当てはまります。と言っても、似ている部分というのはリーダーシップを図るという点のみだ。それ以外の性格などはあまりにも乖離しすぎている。なにせゴーカイレッドは傲岸不遜・唯我独尊という言葉を絵に描いたような俺様気質満点の王様タイプで、自分のしている事に圧倒的な自信を持っている。
- 自分の見立て通りにうまく事が進めばドヤ顔になるなど、本当に船長なのかと疑問に思ってしまう不遜さがある。ただ仲間に対しての意識は誰よりも強く、そして仲間思いでもあるため長男のおそ松とそこの部分だけは似ている。
- ゴーカイブルー
- 海賊団の中で副リーダーであり、ゴーカイレッドの右腕的存在でもある『ゴーカイブルー』についてだが、六つ子たちの誰が一番似ているかと言うと、個人的な見立てでは『チョロ松』が近いと思われる。ここでもそうだが、あまり似ていないのはしょうがない。ただ根っこの部分では真面目で他の5人の兄弟たちが暴走する際には自らが舵取りをして彼らを静止するなどしている。ゴーカイブルーの場合は冷静沈着で、ゴーカイレッドの片腕として活動している。口数こそ少ないが真面目で優しさを併せ持っていることからも、納得できるだろう。
- ゴーカイイエロー
- 今作のヒロイン枠はピンク、並びにイエローも当てはまる。『ゴーカイイエロー』もそんなヒロイン枠となりますが、おそ松的に見ると『十四松』がよく似ているのではないかと。反論が飛び交いそうですが、とにかく勝ち気で男勝りな性格もあってアクの強いキャプテンにも引けをとらないところは、十四松の奔放さによく似ているといえます。
- その実、内情には深い闇を抱えている点もある。十四松の場合は触れてはならない部分として封印されているが、ゴーカイイエローのそんな影ある部分があるからこそヒロインとしての体裁を保てている部分も大きい。
- ゴーカイグリーン
- ゴーカイジャーの中でも一番不遇なキャラとして扱われる『ゴーカイグリーン』、彼の立場としては『カラ松』が適当といえる。それというのも、ゴーカイグリーンは今作切っての不遇キャラとして描かれており、それこそカラ松と比べても引けをとらないほどにだ。例えば海賊としての懸賞金も、メンバー全員が懸賞金額が跳ね上がる中で一時期は5,000にまで落ちるという、どうしようもなく残念すぎるヒーローとなっている。まぁカラ松と違って兄弟たちから完全に見放されるようなことはないのでまだマシか。
- ゴーカイピンク
- イエローと同様に今作のヒロインとして活躍する『ゴーカイピンク』、六つ子の中では末っ子の『トド松』が当てはまります。ゴーカイピンクは元々ザンギャックによって滅ぼされた国の1つで、かつて王女だったのです。礼儀正しく、そして可憐な一輪の花として海賊たちからはもちろんのこと、トド松の女子力高けぇっとうならせるくらいに優雅な振る舞いを見せています。彼女とイエロー、ヒロインというだけでこうも大きな違いを見せているのだから面白い話だ。
- ゴーカイシルバー
- 元は海賊ではなく、途中から志願して海賊になった『ゴーカイシルバー』、彼は一松、と言いたいところですが、性格などから加味すると『チョロ松と十四松、そして一松』の3人を合わせて2で割ったものと見ていい。ヒーローというものはこうだと、海賊としての生き様を誇りにしていたゴーカイジャーの面々を戸惑わせるなどの側面を見せる。実際、この3人も個性豊かな部分もありながら、1つの能力に特化しているので、よく似ているといえる。
ヒロイン2人って
余談だが、ゴーカイジャーでヒロインがイエローとピンクという二枠が存在している。果たしてどちらが人気があったのかと考えて見るだけでも、この作品の原動力がどこから来ているのか見えてくるかもしれません。